第1章:はじめての車中泊、準備した“つもり”だった…でも現実は甘くなかった
我が家にとって、この旅は**記念すべき「初めての車中泊」**でした。初キャンピングカー、初の長距離移動、そして初の宿泊が「車の中」という、すべてが手探りの挑戦。
それでも、「ある程度準備しておけば大丈夫だろう」と、どこかで楽観的に考えていた部分があったのだと思います。
実際、出発前にはそれなりの準備はしていました。冬用の寝袋に厚手のブランケット、そして頼みの綱となる**FFヒーター(エンジンを切っても車内を暖められる暖房装置)**も搭載されたキャンピングカー。
「初めてにしては、ちゃんと備えてるほうじゃない?」と、どこか安心しきっていた自分がいました。
でも、いざ実際に「初めての車中泊」を体験してみると、その甘さが一気に露呈しました。
FFヒーターが万が一動かなくなったら?
サブバッテリーの電圧ってどこで確認するの?
電源のない場所で、どうやって一晩越すの?
初めてだからこそ知っておくべき“当たり前”の知識がまるでなかったのです。
特に冬の寒冷地では、暖房が生命線になるという現実。
私たちは、「それでもなんとかなるだろう」とどこか軽く考えていました。けれど現実は、そんな甘さを許してくれるような環境ではなかったのです。
宿泊地に選んだのは、長野県の白馬村。氷点下に冷え込む冬の夜でした。
この「初めての車中泊」が、まさか**「忘れられない夜」**になるとは、この時点ではまだ知る由もありませんでした――。
第2章:寒波襲来、FFヒーター停止!まさかの“命綱”が使えない夜
「こんなに寒いのに、なんでヒーターが止まるの…?」
それは、私たち家族の“初めての車中泊”の夜に起きた、信じられない出来事でした。旅先は長野県・白馬村。雪景色が美しい観光地ですが、冬の夜は氷点下を下回ることも珍しくありません。
そんな環境の中で、頼りにしていたのがFFヒーター。エンジンを切った状態でも車内を暖かく保てるこの暖房装置は、冬の車中泊においてまさに「命綱」。
私たちも「これがあるから大丈夫」と信じて疑いませんでした。
しかし、夜中の2時過ぎ。ふと目を覚ますと、車内が異様に冷えていることに気づきました。FFヒーターが…止まっていたのです。
一瞬で不安と焦りが押し寄せました。電源スイッチを確認しても反応なし。再起動しようにも、原因がわからない。完全にパニックでした。
仕方なく、エンジンをかけて車のエアコンで暖を取ることに。車中泊初心者としては、これが唯一の選択肢でした。
ところが、ここからがさらなる試練の始まりでした。
🚫 エンジン音がうるさい
アイドリング状態のエンジン音が、静まり返った夜の道の駅に響き渡ります。周囲に迷惑をかけていないか、罪悪感と不安で気が休まりません。
🚫 暖房の風が乾燥しすぎてつらい
車のエアコンはパワーこそありますが、乾燥がひどく、肌と喉に強烈なダメージ。特に私は乾燥に敏感で、途中から咳が止まらなくなってしまいました。
🚫 温度調整が難しくて眠れない
暖房が効きすぎて暑くなり、切るとすぐ寒くなる。温度のちょうどいいポイントが見つからず、結局私は朝までほとんど眠れませんでした。
そして迎えた朝。疲労と不安と後悔が重なり、車の中で私は思わず叫びました。
「こんなに大変なら、キャンピングカーなんて買うんじゃなかった!今すぐ売りたい!!」
正直、その時は本気でした。家族旅行を楽しむどころか、「命の危険」を感じたほどの寒さと不安。
「これが車中泊なら、二度とやりたくない」とさえ思いました。
でも今振り返れば、この経験があったからこそ、何が必要で、どんな知識が欠けていたのかを深く学ぶことができました。
車中泊初心者にとって、「失敗」は最高の先生。そしてそれをどう乗り越えるかが、家族の旅をより良いものにしていく第一歩だったのです。
第3章:なぜこんな失敗が起きたのか?原因と考察
「FFヒーターさえあれば冬の車中泊は安心」
私たちが最初にそう信じていたのは、きっと多くのキャンピングカー初心者と同じだったはずです。
しかし、“初めての車中泊”だからこそ陥りやすい落とし穴が、私たちにはいくつもありました。この章では、白馬村での失敗をもとに、何が原因だったのかを冷静に振り返ってみたいと思います。
1. FFヒーターへの過信と仕組みの理解不足
FFヒーターは確かに冬の車中泊において心強い装備ですが、機械である以上、故障や停止のリスクはゼロではありません。
私たちも「つければ温かい」「勝手に動くもの」と思い込んでいて、作動条件やトラブル時の対処法をまったく知らないまま出発してしまいました。
たとえば、以下のような点を理解していなかったのです:
- サブバッテリーの電圧が低いと作動しない
- 外気温が極端に低いと、機器がセーフティで停止することがある
- フィルターの目詰まりや空気の流れの遮断による自動停止
「つかない!どうしよう!」の時点で、私たちには何もできませんでした。
2. 電力管理の知識がゼロだった
FFヒーターや照明、スマホの充電などで、サブバッテリーをどれだけ消費しているか? そもそもバッテリーの残量はどうやって確認するのか? そんなことすら把握していませんでした。
実際、夜までYouTubeを見せたり、照明をつけっぱなしにしていたことが、FFヒーター停止の原因=電圧低下だった可能性も高いです。
車中泊では、電気は“使い放題”ではないということを、身をもって学ぶことになりました。
3. 寒冷地への知識とリスク認識が甘かった
「白馬村=雪がきれいでロマンチック」――確かにそうです。
でも現実は、氷点下10℃を超える極寒の地。それをわかっていながら、私たちは**「備えれば何とかなる」と安易に考えていました**。
本来なら以下のような準備が必要でした:
- 気温に応じた装備の再確認(布団・カイロ・非常用ヒーターなど)
- 車のメカニックチェック(バッテリー・燃料・ヒーター作動確認)
- 最悪のケースを想定した“代替暖房”や避難手段の確保
つまり、“初めて”だからこそ、入念すぎるほどの準備が必要だったのです。
4. 宿泊地選びの判断ミス
私たちは「白馬の道の駅なら景色も良くて便利」と安易に決めましたが、電源設備がない場所では、いざという時に何のサポートもありません。
もしRVパークなど、外部電源が使える設備のある場所を選んでいたら…
ヒーターも使えたかもしれないし、最悪の一夜を避けられたかもしれません。
🔍まとめ:失敗の原因は「知識・準備・経験」のすべてが不足していたこと
- 機器の仕組みを理解せずに使った
- 電力の使い方をコントロールできなかった
- 寒さを甘く見た
- 宿泊地の条件を軽視した
それはすべて、「初めての車中泊だから仕方なかった」で片づけられることかもしれません。
でも同時に、事前に学んでおけば避けられた失敗でもあったのです。
この経験をきっかけに、私たちは“車中泊に必要な知識”を本気で学ぶようになりました。
当時の私たちは「キャンピングカー=どれでも便利」と思い込んでいて、車種の違いについて深く考えていませんでした。
結果として選んだのは、手軽に始めやすいバンコンタイプ。確かに運転はしやすいのですが、冬の寒さやスペースの制約には対応しきれませんでした。
今振り返ると、家族構成や使用シーンに合わせて“車種そのもの”をしっかり選ぶべきだったと強く感じています。
🚐 キャンピングカー選びで失敗しないために
子育て世帯に向いているのは、果たしてバンコンか?キャブコンか?
メリット・デメリットを比較した記事はこちら →
👉 【比較】バンコン vs キャブコン|子育て世帯に最適なキャンピングカーはどっち?
第4章:次は同じ失敗をしないために|寒冷地車中泊の対策法
「もう二度とあんな思いはしたくない…」
白馬村での“初めての車中泊”の大失敗を経て、私たちは心からそう思いました。
ですが、その経験を無駄にせず、次こそは快適に過ごせるようにと、寒冷地での車中泊について一から見直すことにしました。
この章では、同じように子育て世帯でこれから車中泊を始める初心者の方が、同じ失敗を繰り返さないための対策法を、実体験とリサーチをもとにご紹介します。
✅ 対策1:FFヒーターは「過信」せず、「理解」して使う
FFヒーターが動作するためには、一定以上の電圧・燃料・空気の流れが必要です。
以下のような点検・準備を旅前に必ず行うようにしました。
- 出発前にヒーターの作動チェック(1〜2日稼働させてみる)
- サブバッテリーの充電状態を確認
- 燃料は常に多めに入れておく(ヒーターは軽油を使用)
- 排気口や吸気口の凍結・目詰まりチェック
また、取扱説明書をしっかり読み、エラー表示の意味や再起動方法を覚えておくことで、いざという時も慌てずに済むようになりました。
✅ 対策2:代替暖房を用意しておく
FFヒーターに頼り切るのではなく、もしもの場合に備えて別の暖房手段を持っておくことが大切です。
我が家で導入したのは以下のアイテム:
- ポータブル電気毛布(12V車載対応)
- 湯たんぽ(お湯はキャンプ用バーナーで加熱)
- 小型のセラミックヒーター(外部電源があるRVパークで使用)
これらがあることで、「もしヒーターが止まってもなんとかなる」という安心感が生まれました。特に子どもがいる家庭では、こうした**“保険の暖房”**は必須です。
✅ 対策3:外部電源が使える宿泊地を選ぶ
車内の電源だけに頼らず、RVパークや電源付きオートキャンプ場を積極的に活用するようになりました。
外部電源があれば:
- FFヒーターや家電の使用も安心
- 電気毛布やポータブル冷蔵庫も問題なし
- バッテリーの消耗を心配する必要がなくなる
特に寒冷地では、「電源が使えること」はそのまま命を守る要素にもつながります。
✅ 対策4:断熱・保温対策を徹底する
車内の保温性を高める工夫も重要です。以下のような対策を実施しています:
- 窓に銀マット(断熱マット)やシェードを貼る
- 床に厚めのカーペットを敷いて底冷え対策
- 隙間風を防ぐため、ドア周りに簡易断熱テープを使用
- 家族全員で温かい服装+フリース素材の寝具で就寝
ちょっとした工夫でも、車内の体感温度は大きく変わります。
✅ 対策5:子どもの健康と快適性を最優先に考える
子どもは大人よりも体温調節が苦手です。寒い車内で長時間過ごすことは、風邪や体調不良のリスクを高めることにもつながります。
そのため我が家では:
- 子どもには保温性の高いスリーパー+電気毛布を併用
- 寝る前には必ず暖かい飲み物で体を温める
- 朝は起床前に暖房をつけて室温を快適にしてから起こす
こうした工夫により、寒さによる子どもの不調を未然に防げるようになりました。
🔚「備え」があれば、寒さも恐くない
白馬村での失敗は辛いものでしたが、その経験があったからこそ、今では冬でも安心して家族で車中泊を楽しめる環境を作れるようになりました。
「まさかFFヒーターが止まるなんて…」
そう思っている方こそ、“もしも”の想定と備えをしておくことが、快適な車中泊ライフへの第一歩です。
第5章:それでも車中泊を続けている理由
白馬村での“初めての車中泊”は、思い出すだけで寒気がするほどの大失敗。
寒さ、乾燥、騒音、そして「もうキャンピングカーなんていらない!」と本気で叫んだ朝――。あの経験だけを切り取れば、私たちは車中泊をやめていてもおかしくなかったでしょう。
でも、それでも私たちは車中泊を続けています。
なぜなのか? それには、失敗を乗り越えたからこそ気づけた“家族の変化”と“車中泊の本当の魅力”があったからです。
🌟 子どもとの距離がぐっと縮まった
キャンピングカーの中は、いい意味で「逃げ場のない空間」です。
テレビもない、個室もない。だからこそ、自然と会話が生まれます。子どもがその日見た景色の話をしたり、寝る前に絵本を読んだり、普段の生活ではなかなか持てない“濃い時間”が流れるのです。
「車中泊って楽しいね!また行きたい!」と笑顔で言ってくれた子どもの一言で、あの白馬の夜のつらさが少しずつ癒えていきました。
🌟 失敗を乗り越える経験が、家族を強くした
あの時、寒さに震えながらも必死で暖を取ったこと。
眠れない夜を、交代で子どもを抱きながら過ごしたこと。
今思えば、それは**「家族で試練を乗り越える経験」**だったのだと思います。
旅には予期せぬトラブルがつきもの。でも、そのたびに相談し合い、助け合い、笑い合えるようになったのは、あの失敗があったからこそ。
キャンピングカー旅は、単なる「移動」や「宿泊」ではなく、家族の絆を育む場所でもあるのだと感じています。
🌟 工夫次第で、旅はもっと快適になると知った
最初はわからないことばかりだった電力管理、断熱対策、宿泊地選び。
でも、調べて、試して、また改善して…を繰り返すことで、「自分たちに合った旅のスタイル」が少しずつ見えてきました。
失敗を恐れずに挑戦し続けることで、今では「車中泊があるから旅行がもっと自由に楽しめる」と感じられるように。
🌟 自分たちだけの“旅の形”を見つけた
ホテルの予約や時間に縛られず、自分たちのタイミングで出発し、好きな場所で眠る。
朝起きて、カーテンを開けたらそこが海でも山でも森でもいい。
そんな自由な旅のスタイルは、車中泊だからこそ実現できるものです。
私たちは、たった一度の失敗でその可能性を捨てるには、もったいなさすぎると気づきました。
🚐まとめ:「つらい経験」も、旅の一部
あの寒かった白馬の夜。あの時は本気で「やめたい」と思った車中泊。
でも今では、その失敗こそが最高の教訓であり、家族にとって大切な思い出です。
初めての旅でうまくいかなくても大丈夫。
車中泊は、知れば知るほど、工夫すればするほど、自分たちらしく楽しめる旅の形です。
そして何より、旅先での景色、家族との時間、笑顔の数は、間違いなく増えていきます。
おわりに:これから初めての車中泊に挑戦する家族へ
キャンピングカーを買ったとき、私たちは「自由で快適な旅が待っている」と信じて疑いませんでした。
でも、現実の「初めての車中泊」は、その期待とは大きくかけ離れたものでした。寒さに震え、ヒーターが止まり、眠れぬ夜を過ごし、心から「失敗した…」と感じた、苦い経験。
それでも今、こうしてまた車中泊を続けていられるのは、その失敗が“気づき”と“学び”のきっかけになったからです。
✅「買って後悔しないために」知っておきたいこと
キャンピングカーは決して安い買い物ではありません。だからこそ、最初の一回の体験が「後悔」に変わってしまうのは、本当にもったいない。
- 機械に頼るだけでなく、その仕組みや弱点を理解すること
- 万が一に備えて、代替手段やプランBを用意しておくこと
- 子どもの快適さと安全を最優先に考えること
これらを心がけるだけで、初めての車中泊はずっと安心で快適なものになります。
✅ 冬の車中泊は“準備9割、本番1割”
特に冬の寒冷地での車中泊は、事前準備がすべてといっても過言ではありません。
FFヒーターが止まるかもしれない。バッテリーが切れるかもしれない。天候が急変するかもしれない。
その「かもしれない」にどれだけ備えられるかが、旅の満足度と安全を決定づけます。
✅ 失敗は旅のスパイスになる
あの時はつらかった。でも今思えば、あの夜のことを家族全員が強烈に覚えていて、笑って話せるようになりました。
「寒かったね〜」「ママ、泣きそうだったよね」
「でもまた行きたいね、今度はヒーターつけて!」
そんな会話が、次の旅へのワクワクを運んできてくれます。
🚐これから始めるあなたへ:怖がらなくて大丈夫
車中泊は、最初は戸惑うことばかりかもしれません。
でも、一つひとつの経験が積み重なって、やがて自分たちらしい旅のスタイルが見えてきます。
私たちが失敗したように、あなたもどこかでつまずくかもしれません。
でもその時は、この記事を思い出してください。
そして、「みんな最初はそうだった」と、少し肩の力を抜いて、また次の旅へ出かけてみてください。
車中泊は、家族の距離をぐっと縮めてくれる、ちょっと特別な旅のかたちです。
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